東福寺には室町時代前期のおトイレの遺構があります。
百雪隠と呼ばれる東福寺の東司(とうす)。
東福寺の東司。
重要文化財に指定されている便所です。
六波羅探題の遺構を移築したと伝えられる東福寺の六波羅門を入ってすぐの所に佇みます。13mにも及ぶ横長の木造建築物で、中には入れませんが、東司の外に置かれた踏み台の上に乗って、東司内部の様子をうかがうことができます。
東司の傍らにそびえる国宝の三門。
東福寺三門前に広がる思遠池の傍に梅の花が咲いていました。
東司の便壺。
室町時代から明治維新に至るまで実際に使われていたそうです。36個の壺が2列、合計72個の壺が並んでいたとか・・・
東司の中に当時の様子を描いた絵が掲げられていました。
禅僧にとっては、用便も大切な修行の内の一つです。
東司へ行くにも厳しい作法が定められていたと伝えられます。
おトイレでも気が抜けなかったんですね(*^_^*)
東司における作法を引用させて頂きます。
法衣を脱ぎ、きれいにたたむ。黄色の土団子を用意する。
水桶をとって右手に提げて便所に入る。
便所の前でわらじに履き替える。
両足で台を踏み、うずくまって用便をする。
周辺を汚したり、つばを吐いたりしてはいけない。
笑ったり、歌ったり、落書きをしてはいけない。
用便が済んだら紙か糞ベラで拭き、きれいな物と混同させない。
右手で水を散らさない様に流して小便と大便をよく洗う。
手洗い所にて、手を三度洗う。
次いで、灰で三度、土団子で三度、サイカチ(植物の葉)で一度洗う。
その後、改めて水や湯で手を洗う。
う~ん、これはなかなか厳しいですね。現代に通用するおトイレの作法もありますが、禅僧ならではの律し方も感じられます。
東福寺の通天橋。
紅葉の名所として人気の東福寺ですが、通天橋からの紅葉風景はまさしく絶景そのものですヽ(^。^)ノ
東福寺の名前は、奈良の東大寺と興福寺の二大寺から一字ずつを取って付けられたと云われます。”東”大寺と興”福”寺の「いいとこ取り」で東福寺なわけですね。
おトイレの遺構で思い出すのが、奈良の飛鳥にある鬼の雪隠・俎板古墳。
実際に便所としての機能があったかどうかは疑わしい鬼の雪隠に対して、東福寺の東司は正真正銘のおトイレでした。Important Cultural Property (重要文化財)として、世界に誇れる日本のおトイレであることに間違いはなさそうですね(笑)