JR嵯峨野線円町駅から徒歩で龍安寺へ向かう途中、妙心寺通沿いに「北野神社御旅所」と書かれた神社を見つけました。お神輿を担いで神様が巡幸する際、一時的に神輿を置いておく御旅所。北野天満宮の御旅所がこんな所にあるとは、偶然の出会いに胸をときめかせながら境内へと入ります。
御輿岡神社(みこしがおかじんんじゃ)。
御旅所の鳥居をくぐって境内の左奥へ歩を進めると、そこにはお神輿の神社にふさわしい名前の「御輿岡神社」が鎮座していました。魂振りの所作にも通じると言われるお神輿。私も小さい頃、近くの神社のお神輿を担いで町内を回った記憶があります。秋祭のシーズンが近づくと、どこからともなく聞こえてくる「ワッショイ、ワッショイ」の掛け声に心が弾んだものです。
北野天満宮の創建前から、この辺りは神楽岡(かぐらおか)と呼ばれる大きな森林であったと伝えられます。それから歴史は下り、初めて北野天満宮の神輿がこの場所に渡御したことから、御輿岡神社と呼ばれるようになりました。御輿岡神社は、北野天満宮の境内外末社になります。
北野天満宮といえば菅原道真。
道真公といえば梅の御紋で知られます。北野神社御旅所の狛犬の下にも梅の御神紋が見られます。菅原道真生誕の地と伝えられる菅原院天満宮神社が烏丸通沿いにありますが、ここ京都は道真公にとっても所縁の深い場所と言えそうです。
妙心寺通沿いに建つ御旅所の鳥居。
毎年10月1日から4日にかけて、北野の神がここ西ノ京の御旅所に迎え入れられます。
ずいき御輿といって、里芋の茎であるずいきを神輿の屋根に葺いたお神輿が登場します。ずいきの他にも、色々な種類の野菜を材料に組み立てられたお神輿は、ずいき御輿ならではのものを感じさせます。秋祭ということで収穫に感謝する意味合いが込められており、京都を代表する伝統行事の一つとして知られます。
龍安寺石庭を鑑賞することが目的の今回の京都散策でしたが、ひょんなことからお神輿にまつわる神社に参拝することになり、改めて京都の歴史の面白さに感じ入った次第です。
御輿岡神社の祭神が案内されています。
土地の守り神である大巳貴命、医薬・病気平癒の神である少彦名命、学徳成就の神である菅原大神が祀られています。
北野天満宮御旅所の境内。
ずいきをはじめとする野菜で作るお神輿。とても独創的なアイディアですよね。
10月といえば神無月です。北野の神様も出雲の地へ出向かれるのでしょうか?10月初旬のずいき祭が終わってから、全国各地の神々が集まると言われる出雲へ出発されるのかもしれませんね。