永観堂の拝観受付で拝観料を納め、パンフレットを手にしながら中門をくぐり、いざ境内へと入って行きます。中門を抜けた右側に仏手柑の花が咲いており、その横に永観堂のお土産物屋が居を構えていました。
永観堂の三鈷の松。
小さなお土産物屋の中に入ってみると、永観堂名物の三鈷の松が置かれていました。どうやら無料で配られているようです。かなり長い松葉だったため、残念ながら私は遠慮させて頂きましたが、鞄を持参しておられた参拝客の方々が珍しそうに手にしていらっしゃいました。
弘法大師を祀る御影堂の裏手に鎮まる三鈷の松。
御影堂から位牌堂へと上がるエレベーターの手前にあり、龍の体内を思わせる臥龍廊もすぐ傍らに通っています。
永観堂のご本尊・みかえり阿弥陀を祀る阿弥陀堂。
三鈷の松は葉先が三つに分かれているのが特徴です。その古木の意味するところは、智慧・慈悲・まごころであるとされます。三鈷の松の松葉を持っていると、三つの福を授かると言い伝えられます。
下に落ちている松葉を確認してみます。
確かに葉先が三つに分かれていますね。
注意書きも見えますね。
ご利益に授かれるからと、決して下に降りて拾ってはなりません。
三鈷の松の「鈷」という字ですが、一体何を意味しているのでしょうか。
「鈷(こ)」とは「股」の借字で、仏具の一つです。元来は武器であった銛(もり)の変化したものであり、密教においてはその形を象徴化し、悟りを妨げるものを追い払う意味合いがあります。密教道具の独鈷、三鈷杵、五鈷杵等々に見られますね。
三鈷の松の右側に、花頭窓の付いた比較的新しい建造物が見えますが、この建物が御影堂から位牌堂、本堂の阿弥陀堂へと続くエレベーターです。
昨今の神社仏閣ではユニバーサルデザインが各所で進められており、永観堂の車イス用のエレベーターもそういった時代の流れに応じて作られたものではないでしょうか。
三鈷の松の立札。
松葉といえば普通は二つに分かれているものです。
日本料理の世界でも、人参や大根を松葉の形に飾り切りすることがよくあります。永観堂の三鈷の松のように、先が三つに分かれた松葉が存在するとは思ってもみませんでした。
阿弥陀堂へ上がっていく階段の手前に手水舎がありました。
綺麗な紫陽花の花が咲いています。
幹の部分にも松葉が絡み付いています。
松ヤニの為せる業なのでしょうか?
画仙堂の手前にお地蔵さんがいらっしゃいました。
三鈷の松にも通じる「智恵」と「慈悲」と書かれていますね。
学生時代に「知情意」の大切さを説かれたことを思い出します。
三鈷の松の説く智慧、慈悲、まごころに照らし合わしてみるならば、最後の「意」はどれに相当するのだろう?と疑問に思ったりもするのですが、皆さんはどう思われますでしょうか。
落ち葉が気になって、木の下を注意してよく見てみると、それはそれはあちこちに葉先が三つに分かれた三鈷の松を視認することができます。永観堂参拝の際には、三鈷の松の落ち葉探しも面白いかもしれませんね。時間を忘れて夢中になってしまいます(笑)
南禅寺や銀閣寺にも程近い場所にある永観堂禅林寺。
縁起の良い三鈷の松をお目当てに、一度お参りされることをおすすめ致します。