永観堂禅林寺の中門脇に仏手柑の花が咲いていました。
蜜柑科常緑低木の仏手柑(ぶっしゅかん)は、初夏になると白色の五弁花を咲かせます。紫色の花もあるようですが、永観堂で見た仏手柑の花は白色でした。
永観堂に開花する仏手柑。
仏手柑といえば、仏手柑飴として販売されていた奈良の新薬師寺や、ホテル本能寺の玄関先を飾っていたことを思い出します。衆生に救いの手を差し伸べる千手観音を思わせるその出で立ちに、数多くの観光客が立ち止まります。
やはりインパクトがあります。
何かを鷲づかみにするような、ほとばしる生命力のようなものを感じます。
永観堂中門。
中門の手前には拝観受付が見えます。門の両脇には、どこかエキゾチックな白い狛犬が陣取っています。さすがに京都を代表する観光名所とあってか、数多くの外国人観光客の姿が見られます。
こちらが仏手柑の花の蕾(つぼみ)。
薄らとピンク色がかっていて、どこか桃のようにも見えますね。
開花のタイミングを待つ蕾には、尊い命の輝きがぎっしりと詰まっています。
五枚の花弁が綺麗に開いています。
お寺でよく目にする仏手柑ではありますが、花が咲いているところを見るのは今回が初めてでした。6月の末頃ということで、時期的にもちょうど開花のタイミングと重なったようです。
永観堂の本堂右手前に咲く紫陽花。
ご本尊のみかえり阿弥陀が祀られる阿弥陀堂(本堂)の脇に梅雨を謳歌する紫陽花が咲いていました。紅葉で有名な永観堂ではありますが、仏手柑や紫陽花など、意外な花々との出会いに心が躍ります。
永観堂の臥龍廊(がりゅうろう)。
山の斜面に沿って、龍の体を思わせる ” うねり ” を持たせた廊下が設けられています。
京都東山の高台寺にも、開山堂と霊屋を結ぶ臥龍廊があったのを思い出します。廊下の屋根が龍のうろこを想像させる造りでしたが、龍ならではのうねり具合から言うと、永観堂の臥龍廊の方に軍配が上がるような気が致します。
仏手柑の花。
思わぬご褒美を貰ったような気分です。
永観堂を象徴する多宝塔の写真が廊下の曲がり角に飾られています。
境内の奥へと登り詰めた場所に建つ多宝塔。多宝塔の前に立つと、京都市街の京都ホテルオークラなどの建物を望むことができます。
仏像の宝庫でもある京都。
首を少し左にかしげ、振り向きざまの格好をした永観堂禅林寺のご本尊は「みかえり阿弥陀」と呼ばれ親しまれています。永観堂境内の瑞紫殿には、火難を逃れた火除けの阿弥陀も安置されています。
永観堂から徒歩数分の距離にある南禅寺水路閣。
京都の数ある観光ルートの中でも、南禅寺と永観堂をセットにして考える人は多いのではないでしょうか。永観堂から東山中学・高校の賑わいを抜けてしばらく歩を進めると、その巨大な三門で知られる南禅寺へとアクセスします。
永観堂の拝観料は600円。
永観堂へのアクセスは、JR京都駅から市バス5系統「南禅寺・永観堂道」下車、徒歩3分。あるいはJR京都駅から市バス100系統で「東天王町」下車、徒歩5分となっています。
京阪電車をご利用の場合は、京阪三条駅から市バス5系統で「南禅寺・永観堂道」下車、徒歩3分の道程です。