平等院鳳凰堂の裏手のお堂の中で、旅の安全を祈願する救世船乗観音像を拝ませて頂きました。
平等院ミュージアムの鳳翔館の南西角に、浄土院子院として、かつて観音堂が建てられていました。
そこのご本尊が救世船乗観音様です。
波型の台座の上に、船に乗る格好をした「船乗観音」。
旅の安全や航海の無事を祈願したと伝えられます。
昔の人の旅には、絶えず危険が付き物でした。奈良の平城京跡の近くにも、航海の安全を祈願する海龍王寺というお寺があります。旅といえば船、船といえば安全祈願だったのでしょうね。
世界遺産の平等院。
蓮の花の名所としても知られます。
境内のすぐ近くを宇治川が流れる平等院。
昔は交通の要衝でもあったことが伺えます。
旅の安全を祈願する場所であったことは、地理的な条件も絡んでいるのではないでしょうか。
案内板にも書かれていますが、救世船乗観音は一度盗難に遭っているようです。現在の救世船乗観音様は復元され、開眼供養された仏像のようです。
平等院の仏像には、阿弥陀如来座像や雲中供養菩薩像などの国宝がありますが、救世船乗観音のような民衆と共にあった仏像も忘れ難いですね。
奈良の石光寺でも船乗観音を見たことがありますが、平等院の船乗観音の方が肉付きが良いようです(笑) 下を向いている石光寺の仏像とは違い、目線も上向きで、どこか希望が感じられます。