はんなりという京言葉があります。
はんなりとは華やかでぱっと明るく、それでいて上品で奥ゆかしさの感じられる様子。
落ち着いた華やかさ、洗練された奥ゆかしさを表現する言葉です。
要するにケバケバしいほどに華やかであってはならないのです。
華やかでありながら、慎ましやかな上品さが備わっていてこその「はんなり」なのです。
いかにも京都らしい温もりのある言葉ですよね。
はんなりの語源には幾つかの説があります。
「華なり」の略であるという説。
「華有り」 hanaari の二重母音 a が一つ脱落したカタチであるという説。
「華+ほんのり」に由来するという説。
色々言われていますが、全てに共通するのは「華」という漢字が含まれているということ。
あの俳優さんには華がある。
なんて表現することがよくありますが、それとよく似ているのではないでしょうか。
下品で粗野な俳優さんにはあまり使われない言葉ですよね。
はんなりという京言葉で連想されるのが祇園の舞妓さん。
はんなりしたおなごはん。
何と表現していいのか、人肌感覚のほっこりと心が温かくなる言葉です。
祇園の街を歩いていると、どこからともなく聞こえてきそうな・・・
そんな空想に耽りながら祇園散策をしてみるのも乙なものです。
京都には歴史が息づいています。
長い年月の中で培われてきた、どこか複雑な、一筋縄ではいかない奥ゆかしい空気が流れています。
はんなりという京言葉にも、相反する二面性を自然と包み込むような優しさが
感じられます。大らかな余裕とでも申しましょうか、そんな懐の深さを感じます。
◇おこしやすも人気の京言葉ですよね。おこしやすとおいでやすの違いは?