京都の言葉におばんざいっていうのがあります。
おばんざいとは何を意味する言葉なのでしょうか?
京都の先斗町を歩いていたら、「おばん菜」の看板を見つけました。
簡単におばんざいの意味を解説させて頂きますと、家庭料理・普段のおかず・おふくろの味といったところになります。
漢字では「お番菜」と書きます。
おばんざいの意味を考えるときに、「番」の字がキーワードになって参ります。
「番」という漢字には、多数備えることによって番号を付けておくという意味があります。そこから、常用の粗末なものに冠する語として使われるようになりました。
番傘や番茶などはその代表格ですよね。
番茶というのは、摘み残りの堅い茶葉で製した品質の劣る煎茶のことをいいます。番傘はさしずめビニール傘ということになりましょうか。
おばんざいとよく対比されるのが京料理。
こんなことを言ってしまっては京料理に失礼に当たるかもしれませんね。
基本的には、京料理がよそゆきのお客様にお出しするお料理で、おばんざいはあくまでも家庭料理です。
ところが、昨今では「おばんざい」という言葉がマスコミにも取り上げられ、敢えて「おばんざい」と屋号に冠して商売をするところが増えてきました。これも時代の流れですかね。
贅沢な食材を使うわけではない。
派手ではないけれど美味しい。
出汁味のしみ込んだ京野菜を使ったおばんざいには、その土地ならではの奥行きのある味が感じられます。
食の安全が叫ばれる中、地産池消や身土不二(しんどふじ)の考え方が尊ばれる世の中になってきています。そんなことも影響しているのでしょうか。
おばんざいの人気の理由に、食の問題が顔をもたげているのではないか・・・
食生活の原点回帰を、京都のおばんざいは教えてくれているのではないでしょうか。