東福寺と並び、洛南エリアの名刹として知られる泉涌寺。
「泉が涌く寺」と言うからには、きっと境内のどこかに泉が涌いているに違いありません。
泉涌水屋形。
仏殿の右側にひっそりと泉が湧き出ていました。
泉涌寺は始めから泉涌寺という名前ではなく、最初は法輪寺だったそうです。その後、仙遊寺と改称されていましたが、寺域の一角より清泉が湧き出ていた祥瑞により、寺号を泉涌寺と改めた歴史があります。
京都府指定文化財の泉涌水屋形。
お洒落な意匠が施されていますね。
泉涌寺仏殿。
今も湧き続ける泉は、仏殿の向かって右側に位置しています。
重要文化財の仏殿は、1668年に徳川家綱により再建された建物です。仏殿の内陣には、運慶作と伝えられる三尊仏が並んで坐しています。
泉涌水屋形の左側に清少納言の歌碑が建てられています。
清少納言歌碑。
夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ
泉涌寺のポスターに楊貴妃観音像が写っています。
慈悲を表す口の動きを表現する楊貴妃観音像。良縁祈願に訪れる人も多く、泉涌寺のアイドル的存在でもあります。
月輪陵。
泉涌寺といえば、歴代天皇の陵を思い浮かべます。
後鳥羽上皇、順徳上皇、後高倉院などの歴代天皇、法皇が泉涌寺に深く帰依し、その御陵が置かれていることで知られます。御寺(みてら)と呼ばれる所以ですね。
泉涌水屋形。
聖域に清冽な水はよく似合います。
そういえば、宇治上神社にも桐原水と呼ばれる名水が涌いていましたよね。清めの水には祓いのイメージが重なります。泉涌寺の名前の由来にもなっている泉涌水屋形に、参拝の際は手を合わせておきましょう。